通販会社が商品を運ぶための梱包材に工夫をこらしている。使いやすさに加えて、顧客が楽しめるようなデザインを取り入れているのが特徴。使用後に玩具や収納用具として再利用する構想まである。通販で顧客が商品を受け取る際に最初に目にするのは梱包材だ。通販会社のイメージに直結するだけに、梱包材は商品と並ぶ重要な要素になってきた。
テープを使わず配送用箱を密閉――。カタログ通販大手の
フェリシモが2007年に導入した商品配送用の段ボール箱の特徴は、粘着テープを使わずに封ができることだ。
通常の段ボール箱は手前、奥、左右の四カ所についているふたのうち、まず左右を折り曲げ、手前と奥を折り重ねた上に粘着テープなどを張るのが一般的。それに対しフェリシモの段ボール箱は手前と奥のふたの先に凹凸を付け、ふたをする際に互いにかみ合うようにした。
機能だけでなく見た目にもこだわった。箱の色は緑から黄色へのグラデーションを使った。ふたがかみあった部分を上から見ると、へびに見えるように表現したという。箱の名前も「スネークロック箱」と名付けた。大王製紙系の段ボール製造会社、関西大王製紙パッケージ(兵庫県福崎町)と共同で開発した。
コレクションの楽しみも
フェリシモは手芸用雑貨の包装袋にも工夫をこらしている。半透明な袋にぬいぐるみ用のウサギの型紙や、「ABC」の文字などの刺しゅう図案を印刷した。図案や色は不定期に変え、商品が届く楽しみ、コレクションする楽しみを持たせたという。同社の女性社員がデザインを担当している。
同社の梱包材に対する評価は高く、段ボールは今年10月の日本パッケージングコンテストで「日用品・雑貨包装部門賞」を受賞した。手芸用雑貨の包装袋も06年にグッドデザイン賞を受賞した。
同社が現在取り組んでいるのが使用後の段ボールの再利用だ。段ボールのデザインを担当する物流サービス部の世古比佐代さんは「再利用を楽しんでもらえる工夫はできないだろうか」と話す。
一案がブロック遊びのおもちゃ。箱のふた部分などに車やハート形などの型抜きのラインを入れ、商品が届いた後に消費者がラインに沿って切り取れるようにする。切り抜いた段ボールを組み立ててペン立てや名刺立てを作れるようにする構想もある。強度の関係で試作・改良中だが、早期に実現させる考えだ。
オフィスにも華やぎ
ほかの通販会社にも同様の取り組みが広がっている。オフィス用品通販大手の
アスクルは今年8月から、配送用の段ボール箱のデザインを順次切り替えている。従来は無地の段ボールに社名とイメージキャラクターを青色で記しただけだったが、新しいデザインは社名の文字を白色に変更するとともに、段ボール全体に白い線で木の葉のイラストを描いた。
デザインを手がけたスウェーデン出身のニーナ・ヨブス氏は「木の葉が舞い上がる様子に、顧客に様々なメッセージが伝わるようにという思いを込めた」と話す。
段ボール箱の側面には折り目が付き、ふたの長さを変えられるようになっている。容量が少ない場合は底を浅くして、商品の破損防止のために入れる緩衝材を減らせる。木の葉のイラストには、アスクルが環境問題に取り組んでいるイメージを強調することも期待している。
同社は3―4年前からデザイン性を重視した独自商品を増やしており、梱包材の見直しはその延長線上にある。消費者を相手にするカタログ通販と異なり、オフィス通販は梱包材に凝らなくてもよさそうに思える。だがオフィスには社外の人が出入りしており、普通の段ボール箱を山積みにしておくと殺風景なイメージを与える可能性がある。そのためオフィス通販でも梱包材のデザインを工夫する必要があるという。
店で商品を見て買う場合と異なり、通販では顧客が商品を手にするときはまず梱包材が目に入る。通販の競争が激化するなか、商品だけでなく梱包材でも違いを打ち出す動きが広がりそうだ。